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.\" 2008-12-04, Petr Baudis <pasky@suse.cz>: Document open_wmemstream()
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.\" Updated 2012-05-30, Akihiro MOTOKI <amotoki@gmail.com>
.\"
.TH FMEMOPEN 3 2015\-01\-22 GNU "Linux Programmer's Manual"
.SH 名前
fmemopen, open_memstream, open_wmemstream \- メモリーをストリームとしてオープンする
.SH 書式
.nf
\fB#include <stdio.h>\fP
\fBFILE *fmemopen(void *\fP\fIbuf\fP\fB, size_t \fP\fIsize\fP\fB, const char *\fP\fImode\fP\fB);\fP
\fBFILE *open_memstream(char **\fP\fIptr\fP\fB, size_t *\fP\fIsizeloc\fP\fB);\fP
\fB#include <wchar.h>\fP
\fBFILE *open_wmemstream(wchar_t **\fP\fIptr\fP\fB, size_t *\fP\fIsizeloc\fP\fB);\fP
.fi
.sp
.in -4n
glibc 向けの機能検査マクロの要件 (\fBfeature_test_macros\fP(7) 参照):
.in
.sp
\fBfmemopen\fP(), \fBopen_memstream\fP(), \fBopen_wmemstream\fP():
.PD 0
.ad l
.RS 4
.TP 4
glibc 2.10 以降:
_XOPEN_SOURCE\ >=\ 700 || _POSIX_C_SOURCE\ >=\ 200809L
.TP
glibc 2.10 より前:
_GNU_SOURCE
.RE
.ad
.PD
.SH 説明
\fBfmemopen\fP() 関数は、ストリームをオープンし、そのストリームに \fImode\fP で指定されたアクセス許可を設定する。
そのストリームを通じて、 \fIbuf\fP で指定された文字列やメモリーバッファーへの読み書きができる。 このバッファーは少なくとも \fIsize\fP
バイトの長さでなければならない。
.PP
引き数 \fImode\fP は \fBfopen\fP(3) の場合と同じである。 \fImode\fP で追記モード
(append mode) が指定された場合、ファイル位置の初期値は バッファー中の
最初のヌルバイト (\(aq\e0\(aq) の位置に設定される。
それ以外の場合は、ファイル位置の初期値はバッファーの先頭になる。
glibc 2.9 以降では、文字 \(aqb\(aq を \fImode\fP の二番目の文字として指定
することができる。 この文字は「バイナリ」モードを指定するものである。
このモードでは、書き込み時に文字列終端のヌルバイトが黙って追加 される
ことはない。また、 \fBfseek\fP(3) \fBSEEK_END\fP は、文字列の長さからの相対値
ではなく、バッファーの末尾 (\fIsize\fP で指定した値) からの相対値となる。
.PP
書き込み用にオープンされたストリームをフラッシュ (\fBfflush\fP(3)) やクローズ (\fBfclose\fP(3)) した時に、
(バッファーに空きがあれば) ヌルバイトがバッファーの末尾に書き込まれる。 このようにするためには、呼び出し元は バッファーに 1バイト余裕を作る
(\fIsize\fP にこの 1バイトを含めた値を指定する) 必要がある。
バッファーに \fIsize\fP バイトよりたくさん書き込もうとした場合には、エラーとなる。 (デフォルトでは、このようなエラーが見えるのは
\fIstdio\fP バッファーがフラッシュされた時だけである。 以下の呼び出しを使ってバッファーリングを無効にする方法は、
出力操作を行った時点でエラーを検出するのに役立つ。
setbuf(stdream, NULL);
別の方法としては、 以下のように、 呼び出し側が明示的に stdio ストリームバッファーとして \fIbuf\fP
を指定し、バッファーの指定時にバッファーのサイズを stdio に教える方法がある。
setbuffer(stream, buf, size);
.\" See http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=1995
.\" and
.\" http://sources.redhat.com/ml/libc-alpha/2006-04/msg00064.html
.PP
読み出し用にオープンされたストリームでは、 バッファー内にヌルバイト (\(aq\e0\(aq) があっても 読み出し操作がファイル末尾
(end\-of\-file) を返すことはない。 バッファーからの読み出しでファイル末尾が返るのは、 ファイルポインターがバッファーの先頭から
\fIsize\fP バイトを越えて先に進もうとした場合だけである。
.PP
\fIbuf\fP に NULL が指定された場合、 \fBfmemopen\fP() は動的に \fIsize\fP バイトの長さのバッファーを確保する。
この方法は、一時バッファーにデータの書き込みを行ってから、 その内容を再度読み出すようなアプリケーションで有用である。
このバッファーはストリームがクローズされるときに自動的に解放される。 呼び出し元からはこの関数が割り当てた一時バッファーへのポインター値を
知る方法は存在しない点に注意 (下記の \fBopen_memstream\fP() も参照)。
\fBopen_memstream\fP() 関数は、バッファーへの書き込み用にストリームをオープンする。 バッファーは (\fBmalloc\fP(3)
を使って) 動的に割り当てられ、必要に応じて自動的に伸長する。 ストリームをクローズした後で、呼び出し元はこのバッファーを \fBfree\fP(3)
すべきである。
このストリームが クローズ (\fBfclose\fP(3)) されたりフラッシュ (\fBfflush\fP(3)) された時に、 \fIptr\fP と
\fIsizeloc\fP の値はそれぞれバッファーへのポインターとそのサイズに更新される。 これらの値は、呼び出し元がそのストリームに新たな書き込みを
行わない場合に限り有効である。 ストリームに書き込みを行った際には、これらの変数を参照する前に ストリームを再度フラッシュしなければならない。
バッファー末尾のヌルバイトは保持される。 このヌルバイトは \fIsizeloc\fP に格納されるサイズには「含まれない」。
ストリームのファイル位置は \fBfseek\fP(3) や \fBfseeko\fP(3) で変更できる。
すでにデータが書き込まれた領域の末尾より先にファイル位置を動かすと、 その間の領域は 0 で埋められる。
\fBopen_wmemstream\fP() は \fBopen_memstream\fP()
と同様だが、バイトではなくワイド文字に対して操作を行う点が異なる。
.SH 返り値
成功して終了した場合には、 \fBfmemopen\fP(), \fBopen_memstream\fP(), \fBopen_wmemstream\fP() は
\fIFILE\fP ポインターを返す。 失敗した場合は、 NULL を返し、 \fIerrno\fP にエラーを示す値をセットする。
.SH バージョン
\fBfmemopen\fP() と \fBopen_memstream\fP() は glibc 1.0.x ですでに利用可能であった。
\fBopen_wmemstream\fP() は glibc 2.4 以降で利用可能である。
.SH 準拠
POSIX.1\-2008. これらの関数は POSIX.1\-2001 では規定れていないが、 Linux 以外のシステムで広く利用可能である。
.\" http://austingroupbugs.net/view.php?id=396
POSIX.1\-2008 では \fImode\fP の \(aqb\(aq は無視されるべきだと規定されて
いる。一方、Technical Corrigendum (正誤表) 1 では、\fImode\fP の
\(aqb\(aq が指定された場合の扱いは実装依存であることを許容するように
標準規格が修正されており、glibc の \(aqb\(aq の扱いは許されている。
.SH 注意
これらの関数が返すファイルストリームに対応するファイル ディスクリプターはない (つまり、返されたストリームに対して \fBfileno\fP(3)
を呼び出すとエラーが返ることになる)。
.SH バグ
.\" http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=1996
バージョン 2.7 より前の glibc では、 \fBopen_memstream\fP()
で作成されたストリームの末尾より先にファイル位置を動かしても、 バッファーが伸長されず、 \fBfseek\fP(3) が失敗し \-1 が返る。
.\" FIXME . http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=11216
\fIsize\fP に 0 が指定された場合、 \fBfmemopen\fP() はエラー \fBEINVAL\fP で失敗
する。この場合にはストリームの作成に成功して、最初の読み出しを行った際に
EOF (end of file) が返される方が、ストリームの扱いの一貫性が増すだろう。
また、 POSIX.1\-2008 ではこの場合のエラーは規定されていない。
.\" FIXME . http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=13152
\fBfmemopen\fP() に追記モード ("a" や "a+") を指定すると、
ファイル位置の初期値は最初のヌルバイトに設定されるが、(ファイル
オフセットをストリームの末尾以外の位置に再設定した場合)それ以降の
書き込みではストリームの末尾への追記が行われる訳ではない。
.\" FIXME . http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=13151
\fBfmemopen\fP() の \fImode\fP 引き数に追記モード ("a" や "a+") を指定し、
\fIsize\fP 引き数で指定した範囲の \fIbuf\fP 内にヌルバイトがない場合、
POSIX.1\-2008 では、ファイル位置の初期値はバッファーの末尾の直後の
バイトに設定すべきとされている。しかし、glibc の \fBfmemopen\fP() では
この場合ファイル位置は \-1 に設定される。
.\" FIXME . http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=12836
\fBfmemopen\fP() でバイナリモードを指定するには、
\(aqb\(aq は \fImode\fP の \fI2 文字目\fP でなければならない。
例えば、 "wb+" は意図通りの効果になるが、 "w+b" はそうではない。
これは \fBfopen\fP(3) の \fImode\fP の扱いとは異なる。
.\" http://sourceware.org/bugzilla/show_bug.cgi?id=6544
glibc 2.9 での \fBfmemopen\fP() の「バイナリ」モードの追加は、
ABI (Application Binary Interface) が黙って変更された。
それ以前の \fBfmemopen\fP() では \fImode\fP 内の \(aqb\(aq は無視されていた。
.SH 例
このプログラムは \fBfmemopen\fP() を使って出力バッファーをオープンし、 \fBopen_memstream\fP()
を使って動的にサイズが変化する出力バッファーをオープンしている。 (プログラムの第一コマンドライン引き数から取った) 入力文字列を
スキャンして整数を読み込み、これらの整数の二乗を出力バッファーに書き出す。 このプログラムの実行例は以下のようになる。
.in +4n
.nf
$\fB ./a.out \(aq1 23 43\(aq\fP
size=11; ptr=1 529 1849
.fi
.in
.SS プログラムのソース
\&
.nf
#define _GNU_SOURCE
#include <string.h>
#include <stdio.h>
#include <stdlib.h>
#define handle_error(msg) \e
do { perror(msg); exit(EXIT_FAILURE); } while (0)
int
main(int argc, char *argv[])
{
FILE *out, *in;
int v, s;
size_t size;
char *ptr;
if (argc != 2) {
fprintf(stderr, "Usage: %s <file>\en", argv[0]);
exit(EXIT_FAILURE);
}
in = fmemopen(argv[1], strlen(argv[1]), "r");
if (in == NULL)
handle_error("fmemopen");
out = open_memstream(&ptr, &size);
if (out == NULL)
handle_error("open_memstream");
for (;;) {
s = fscanf(in, "%d", &v);
if (s <= 0)
break;
s = fprintf(out, "%d ", v * v);
if (s == \-1)
handle_error("fprintf");
}
fclose(in);
fclose(out);
printf("size=%zu; ptr=%s\en", size, ptr);
free(ptr);
exit(EXIT_SUCCESS);
}
.fi
.SH 関連項目
\fBfopen\fP(3), \fBfopencookie\fP(3)
.SH この文書について
この man ページは Linux \fIman\-pages\fP プロジェクトのリリース 3.79 の一部
である。プロジェクトの説明とバグ報告に関する情報は
http://www.kernel.org/doc/man\-pages/ に書かれている。
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